両筆大師影像
提供: 新纂浄土宗大辞典
りょうひつだいしえいぞう/両筆大師影像
粟生光明寺に伝来する、法然の御影の一つ。建永二年(一二〇七)、法然は四国へ配流となり、帰洛したのは建暦元年(一二一一)のことであるが、入京にあたり法然は、帰りを待ち願った人びとに十念を授与した。その姿を見た慈円は、法然の真影を描き、その後、法然自身がその御影に眼を描き込んだという。この伝承によって「両筆」の名称が冠せられた。御影は、合掌して右向きに立つ姿に描かれており、浄履を履くといった特徴がある。なお、当御影のほかに合掌、右向きの立ち姿であらわされるのは、金戒光明寺蔵伝信空筆の御影や百万遍知恩寺蔵の「参内の御影」など極めて数が少ない。
【参考】成田俊治「法然上人の御影を拝する 両筆の御影」(『知恩』九月号、二〇〇五)【図版】巻末付録
【参照項目】➡法然上人御影
【執筆者:藤田直信】