良忠門下の六派
提供: 新纂浄土宗大辞典
りょうちゅうもんかのろっぱ/良忠門下の六派
浄土宗三祖良忠門下の六流派のこと。良忠の弟子達は、関東と京都にそれぞれ教線を拡大した。それらに関東三派「白旗派、藤田派、名越派」と、京都三派「三条派、一条派、木幡派」がある。白旗派は、坂下義とも呼ばれ、良暁を派祖とし、良暁は良忠の後継となり、鎌倉悟真寺・箕田勝願寺(埼玉県鴻巣市)を相承し、その流派は現在の浄土宗へと発展した。藤田派は水沼義とも呼ばれ、性心を派祖とし室町時代に東北・北陸・東海地方に展開した。名越派は善導寺義とも呼ばれ、尊観を派祖とする。尊観は、良忠の死後、一念業成説を立て良暁と論戦した。名越派は、室町以降東北地方に広く展開する。三条派は蓮華堂義とも呼ばれ、道光を派祖とするが、法灯は早くに絶えた。しかし、道光は『黒谷上人語灯録』(漢語灯録・和語灯録)一五巻、『拾遺黒谷上人語灯録』三巻を編集するなど、大きな功績を残した。一条派は、然空が清浄華院を拠所として、室町時代大いに栄えた。木幡派は良空を派祖とするが、室町時代に法灯が絶えている。
【参照項目】➡白旗派、藤田派、名越派、一条派、三条派、木幡派
【執筆者:東海林良昌】