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礼懺

提供: 新纂浄土宗大辞典

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らいさん/礼懺

礼拝懺悔、またはこの両者をともに行う宗教儀礼信仰対象としての仏を前にして、自己をはるかに超越した救済者への信順が礼拝となってあらわれ、またその救済者とは対照的に脆弱無力な自己の存在への自覚が懺悔となってあらわれる。つまりこの礼懺という宗教行為は、信仰の深まりとともに、外(仏)へと向けられる行為と、内(自己)へと向けられる行為の両面を示したものであり、たがいに相即不離にして、一方の深まりに呼応するかのようにもう一方も相乗的に深められていく関係にある。隋から唐にかけて席巻した三階教の『七階仏名経』や、智昇の『集諸経礼懺儀』などは礼懺儀礼を説き示している。また善導の『往生礼讃』にあっても、讃偈文だけでなく、多種の懺悔文を唱えるようになっている。そのため礼懺礼讃は、信仰の対象(阿弥陀仏)に礼拝する際に、口業によって発せられる両極(懺悔と讃偈)を意味する。すなわち内に向かって自己のありさまを懺悔し、外に向かって仏の威徳を讃歎するということである。したがって礼懺礼讃は表裏一体であり、ともに浄土教においては重要な宗教儀礼となっている。


【執筆者:齊藤隆信】