祐天上人一代記
提供: 新纂浄土宗大辞典
ゆうてんしょうにんいちだいき/祐天上人一代記
六巻。同版異本に『祐天上人御一代記図絵』がある。一相無切有居士編。享和三年(一八〇三)の序、翌四年刊。事績が歌舞伎の題材となり、『祐天大僧正御伝記』において優れた法力を持つ高僧として描かれた祐天を主人公とした仏教小説。新たな構成で世俗に広く流布した。祐天を佐々木京極箕作の庶流とし、奥州岩城新妻村の出身で、両親が成田不動に祈り授かった子とする。妖術に遭い愚昧無智の身となるが、成田山に参籠して不動の霊剣を吞み妖術が解け、超人的法力を持った僧として描かれる。
【所収】『仏教各宗高僧実伝』帝国文庫第四四編(博文館、一八九六)、『祐天寺史資料集』二(祐天寺、二〇〇四)
【執筆者:巖谷勝正】