えんじゅ／延寿

唐・天祐元年（九〇四）—宋・開宝八年（九七五）二月二六日。字あざなを中元といい、抱一子、智覚禅師と号す。中国宋代初期に教禅浄戒一致、万善兼修を主張した禅僧。余杭に生まれる。三〇歳を過ぎて出家し、後に法眼禅師の弟子天台山徳韶とくじょうのもとに参じた。呉越王銭の帰依を受けてはじめ霊隠寺中興一世となり、次いで永明道場（後の浄慈寺）の開山となる。日課として誦経行道、礼仏念仏、受持陀羅尼等の百八事を行った。永明寺に住持すること一五年、弟子は一七〇〇人におよぶ。常に大衆に菩薩戒を授け、夜は鬼神に食を施し、昼は放生を行うなど、当時の人々からは弥勒菩薩の下生とされた。開宝八年（九七五）七二歳、早朝に香を焚き、周りに告げて結跏趺坐けっかふざのまま示寂した。現存著作には『宗鏡録』一〇〇巻、『万善同帰集』三巻、『神棲安養賦』一巻、『唯心訣』一巻等がある。著作中に見られる禅浄融合思想は、後代に大きな影響をおよぼし、志磐『仏祖統紀』において蓮社継祖第六祖とされている。

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【参考】服部英淳「永明延寿の思想」（『浄土教思想論』山喜房仏書林、一九七四）、柴田泰「宋代浄土教の一断面—永明延寿について—」（印仏研究一三—二、一九六五）

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【参照項目】➡万善同帰集、神棲安養賦

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【執筆者：吉水岳彦】