二巻。道空撰。金沢文庫保管。善導『法事讃』の註釈書。巻下は巻首の一部のみ現存。性仙道空は浄光明寺長老で、名越新善光寺別当であった道教念空の弟子。長西の法孫にあたる諸行本願義系の学匠で、『選択集述疑』(金沢文庫保管)の撰者と推定されるなど、その思想は専修念仏に対して批判的であった。本書を含む善導の五部九巻の註釈「管見鈔」は、そうした非法然系の浄土思想や善導理解を伝える貴重な資料である。
【参考】塚本善隆「金沢文庫所蔵浄土宗学上の未伝稀覯の鎌倉古鈔本」(浄土学五・六、一九三三)
【参照項目】➡道空
【執筆者:吉田淳雄】