恵寵とも表記される。生没年不明。道綽『安楽集』下に菩提流支以下、六人の大徳による相承を挙げる中、「次に大徳あり、名利を呵避かひす。すなわち慧寵法師有り」(浄全一・六九四下)と、その名が見える。僧伝類にはその名が見えず、詳細は不明。菩提流支との関係から、『続高僧伝』七に出る道寵のことではないかと推定する説があるが、道寵伝には菩提流支から『十地経論』を受けたことは記されていても、浄土信仰のことは記されていないので、確定することはできない。
【参考】服部仙順「六大徳相承説に就いて」(浄土学八、一九三四)、山本仏骨『道綽教学の研究』(永田文昌堂、一九五九)
【執筆者:曽和義宏】