戒の働きを妨げ、悪い行為を抑止しない働き。律儀、非律儀非不律儀とともに無表業の一つとされる。Ⓢasaṃvara。不護とも訳され、また悪行、悪戒などと同義とされる。不律儀は律儀の対であり、律儀が受戒や禅定によって身につくものであるのに対し、不律儀は殺生などの行為によって身につくものである。『俱舎論』一四によると、悪行、悪戒、業、業道と同義であり、「身・語を禁ぜざれば、不律儀と名づく」(正蔵二九・七四上~中)とあり、身業と語業による悪い行為を抑制しないものとされる。
【参照項目】➡律儀
【執筆者:石田一裕】