仏教民俗学
提供: 新纂浄土宗大辞典
ぶっきょうみんぞくがく/仏教民俗学
民俗学のなかで特に外来宗教としての仏教が日本古来の民俗宗教に与えた影響、すなわち固有信仰というべき民俗宗教の変容を論ずる分野をいう。いうならば、寺と村、仏教と祖先崇拝との関係などの社会関係、仏教が与えた衣食住の影響を含む現代日本の生活文化全般にわたる問題を扱う。柳田国男が仏教に対置するものとして民俗宗教を挙げ、とりわけ中山太郎や国文学の筑土鈴寛らが研究を進めていたが、印度哲学の堀一郎が昭和二六年(一九五一)に民間信仰にかわる語彙として民俗宗教を挙げ、五来重が仏教民俗学を提唱した。具体的には、仏教的年中行事、法会(祈禱と供養)、葬送習俗、仏教講、仏教芸能、仏教伝承、仏教的俗信に分け、後に修験道の項目を加えている。
【参考】堀一郎『我が国民間信仰史の研究』(東京創元新社、一九五三)、『筑土鈴寛著作集』全五巻(せりか書房、一九七七)、五来重『仏教と民俗』(『日本民俗学大系』八、平凡社、一九五九)、同『仏教と民俗』(角川書店、一九七六)、同『続仏教と民俗』(同、一九七九)、『五来重著作集』全九巻(「年中行事」藤井正雄責任編集分、法蔵館、二〇〇九)
【参照項目】➡民俗学
【執筆者:藤井正雄】