ふたいてん/不退転
菩薩が仏道修行の道筋を後戻りしないこと。その境地。ⓈavinivartanīyaⓈavaivartikaの訳。阿鞞跋致、阿毘跋致、阿惟越致と音写する。退とは退堕の意味で、菩薩としてすでに得た地位から退転することを意味し、そのように退転することがないのを不退転という。『無量寿経』下では、往生すると不退転に住するとされる(聖典一・七〇/浄全一・一九)。不退転には位・行・念の三不退説、これに処不退を加えた四不退説、また、信・位・証・行の四不退説、これに煩悩不退を加えた五不退説がある。極楽世界は処不退とされる。
【参照項目】➡阿鞞跋致、三不退、四不退、正定聚
【執筆者:齊藤舜健】