個人が身近において日頃の信仰・礼拝の対象とする仏像。単に持仏ともいう。彫刻・絵画・浮き彫りなど形式は様々である。持仏堂や厨子に安置されることもある。多くは等身以下から携帯できるようなごく小さな作例であり、材質も多様である。飛鳥・奈良時代の小金銅仏はこのような目的で制作されたものも多いと考えられており、平安時代に入ると白檀や銀製の作例も見られるようになる。武士が冑ちゅうに取り付けている特殊な例も知られる。法隆寺の金銅阿弥陀三尊像(伝橘夫人念持仏、国宝)などが名高い。
【執筆者:近藤謙】