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雲版

提供: 新纂浄土宗大辞典

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うんばん/雲版

雲型の金属製打楽器。「うんぱん」ともいい、雲板とも書く。鋳銅製などの平板で、輪郭が雲をかたどっているのでこの名がある。『洞上僧堂清規考訂別録』五には、「雲版は支那十刹の図にものせて、起雲の形を作る。雲は雨を含むゆえ、厨下ちゅうかに掛けて鎮火の意をぐうす。粥飯しゅくはんの熱して火をひく時、三下打つゆえに、火版ともいう。斎粥の時、長打するゆえに長版ともいう。雲版と云うは、形体に付て名く。ゆえに雲形ばかりが義の正当なり」(『曹洞宗全書 清規』五・二七五)とある。禅宗では、庫院くいん(台所)と斎堂(食堂じきどう)の前に掛け、粥飯(朝食と昼食)の時報として用いられている。用途によって、火版かはん斎版さいばんなどと称した。『浄土宗法式精要』には、「初に鐘を聞て集会所に至り、正に雲版を鳴らすこと三下したならば大衆之を聞て袈裟を著し威儀を整える」とある。『法要集』には、「雲版の打ち方は、版木ばんぎに準じる。喚鐘かんしょうに代用するときは喚鐘に準じる」としている。鎌倉光明寺などの引声いんぜい念仏では、雲版うんぱん太鼓双盤等と共に梵音ぼんのんぐとして用いる。このときは「く」の字形に曲がったばち雲版を打ち鳴らしている。


【参照項目】➡引声念仏


【執筆者:西城宗隆】