東国高僧伝
提供: 新纂浄土宗大辞典
とうごくこうそうでん/東国高僧伝
一〇巻。高泉性潡(一六三三—一六九五)撰。貞享五年(一六八八)刊。日本の高僧を中国に紹介するために聖徳太子を巻首におき、以下道昭から江戸時代の天海まで編年的に正伝者とそれに付記された者、合計三三四人の高僧の伝記を集めたもの。高泉は、寛文元年(一六六一)中国から来日帰化し、宇治の黄檗山万福寺五世となった。彼は、唐や宋の高僧伝を模範として虎関師錬の『元亨釈書』と諸記録をもとに僧伝二〇巻を編集した。このうち、禅僧の伝記『扶桑禅林僧宝伝』一〇巻として先に刊行され、残る一〇巻に手を加えて出版されたのが本書である。本書は、『元亨釈書』からの抜粋が多いが、帰化僧が中国に日本仏教の流れを正しく紹介しようとした点は評価される。浄土宗関係では、巻八に大谷寺源空、巻九に三鈷寺証空・善導寺聖光・光明寺良忠、巻一〇には浄華院証賢・浄厳院隆尭・伝通院了誉(聖冏)・増上寺酉誉(聖聡)ら諸師が収録されている。
【所収】仏全一〇四
【執筆者:𠮷水成正】