うえん/有縁
ゆかり、えにしがあること。またさらに過去世からの因縁、宿業があること。例えば善導は、『観経』の「有縁の衆生」(聖典一・三〇三/浄全一・四五)を「ただ勢志と宿業、縁有る者のみ」(『観経疏』定善義、聖典二・二七七/浄全二・五一上)と解釈している。有縁の仏・法門に帰依すれば衆生は最も功徳を受けるという。良忠は、三心を具足する者は往生の因縁があるので「有縁」という(『伝通記』散善義記一、浄全二・三七五下)と述べている。また、縁が識の対象である所縁(Ⓢālambana)を指す場合、「有縁」は所縁がある、あるいは分別をもつの意味にもなる。
【参照項目】➡縁、無縁一
【執筆者:小澤憲雄】