阿号
提供: 新纂浄土宗大辞典
あごう/阿号
鎌倉時代以後、浄土宗と時宗の僧侶の法名に加贈するようになった称号。詳しくは阿弥陀仏号または阿弥陀仏名という。『四十八巻伝』一四によると、文治二年(一一八六)東大寺大勧進俊乗房重源が天台の顕真と法然の間で行われた大原問答の席に連なり、法然の主張に感激し「一の意楽を興して、我が国の道俗、閻魔王宮に跪きて、名字を問われんとき、仏号を唱えしめんために、阿弥陀仏名を継ぐべしとて、自ら南無阿弥陀仏とぞ号せられける。これ我が朝の阿弥陀仏名の初めなり」(聖典六・一六〇)という。浄土宗では二祖弁阿、三祖然阿、時宗では他阿などと用いる。また『三縁山志』七(浄全一九・三八八上)によると、利天(享保一七年〔一七三二〕増上寺へ転昇)は、檀林の修学二〇年に達した者が布薩の璽書をうけてはじめて阿号を許可したという。現在は璽書道場成満の者に授けられる。
【資料】『四十八巻伝』一四、『三縁山志』七
【執筆者:金子寛哉】