すべての世界の生きとし生けるもののこと。十方とは、東・西・南・北の四方に上・下の二方、東南・西南・東北・西北の四維を含めた全一〇方向、つまりすべての方角を意味し、衆生とは、六道輪廻するすべての生き物を意味する。『無量寿経』第十八願では、「もし我仏を得たらんに、十方の衆生、至心に信楽しんぎょうして、我が国に生ぜんと欲して、乃至十念せんに、もし生ぜずんば、正覚を取らじ」(聖典一・二二七/浄全一・七)と、あらゆる阿弥陀仏が十方衆生を救済の対象としていることが説かれているように、阿弥陀仏の本願はすべての衆生に行き渡る。
【執筆者:内田智康】