柄香炉の形をした木製の執持物。岡山誕生寺本尊の法然上人像に見られるような未敷蓮華型も多い。香炉の部分に蕾つぼみをつけた蓮茎を形どったものもある。知恩院などの御忌では、唱導師がこれを持って礼拝をする。また、その次第のなか、「唱導」や「一枚起請文」中には柄を横にして持つ。金戒光明寺御忌では一枚起請文内拝作法にも用いているが、これは軸掛棒を用いていた代用である。山形県天童市の仏向寺には室町時代のものがある。
【資料】『円光大師持蓮華之事』(叡山文庫、生源再追一五九九、青龍寺知事良覚、正徳五年〔一七一五〕)
【執筆者:清水秀浩】