一巻。如寂撰。寛治七年(一〇九三)示寂の教懐から、文治三年(一一八七)遷化の証印まで、高野山における往生者三八名の行状を収載した往生伝。この時期高野山には、密教と阿弥陀行法を兼修する遁世聖(高野聖)の集団があらわれ、浄土信仰が盛んになった。本書は、真言宗の念仏行者の実態を示すものとして貴重な存在である。
【所収】続浄一七、仏全一〇七、『続群書類従』八上、『日本思想大系』七(岩波書店、一九七四)
【参考】『五来重著作集』二(法蔵館、二〇〇七)
【参照項目】➡高野聖
【執筆者:吉原浩人】