鏡もしくは鏡を象かたどった板の表面に神仏の姿を線刻ないしは墨描すみがきで表したもの。懸仏かけぼとけをも含めて御正体みしょうたいとも呼ばれる。神仏習合に基づく造型と考えられ、神体である鏡の表面に本地仏の姿を表したとされる。一〇世紀末頃からの作例が知られる。懸仏はこれから発達したものである。清凉寺釈迦如来立像(国宝)の胎内から、水月観音を線刻した北宋の鏡像が発見されており、近年では本来中国に起源を有するものが、日本へ伝えられて独自に発展したものと考えられている。
【参照項目】➡懸仏
【執筆者:近藤謙】