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墓地、埋葬等に関する法律

提供: 新纂浄土宗大辞典

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ぼち、まいそうとうにかんするほうりつ/墓地、埋葬等に関する法律

墓地納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬が、国民の宗教感情に適合し、かつ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的として定められた法律。墓埋法と略称される。墓埋法の概要は、以下のとおりである。まず、第一章総則(第一条、第二条)においては、目的規定が置かれ(第一条)、「埋葬」、「火葬」、「改葬」、「墳墓」、「墓地」、「納骨堂」、「火葬場」という用語についての定義が定められている(第二条)。また、第二章埋葬火葬及び改葬(第三条~第九条)においては、埋葬火葬及び改葬に関する手続き等を定めている。例えば、①埋葬又は火葬は原則として死亡又は死産後二四時間を経過した後に行わなければならない(第三条)、②埋葬又は焼骨の埋蔵は墓地以外の区域では行えない(第四条一項)、③火葬火葬場以外の施設では行えない(第四条二項)、④埋葬火葬又は改葬を行おうとする者は市町村長の許可を受けなければならない(第五条一項)、⑤市町村長は埋葬改葬又は火葬許可を与えるときは埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を交付しなければならない(第八条)、⑥死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは死亡地の市町村長がこれを行わなければならない(第九条一項)こと等を定めている。さらに、第三章墓地納骨堂及び火葬場(第一〇条~第一九条)においては、墓地納骨堂及び火葬場の経営者の義務、これらの新設、変更又は廃止の手続き、管理者の義務等を定めている。すなわち、①墓地納骨堂及び火葬場を経営しようとする者は都道府県知事許可を受けなければならない(第一〇条一項)、②墓地納骨堂及び火葬場の経営者は管理者を置くとともに諸事項を市町村長に届けなければならない(第一二条)、③管理者は埋葬等の求めに対し正当な理由がなければ拒めない(第一三条)、④管理者は、埋葬許可証・改葬許可証・火葬許可証を受理した後でなければそれぞれ埋葬又は焼骨、収蔵、火葬を行えない(第一四条)、⑤管理者は図面・帳簿等の設置義務があること(第一五条一項)、⑥管理者には埋葬許可証等の保存義務があること(第一六条一項)、⑦管理者は、前月中の埋葬又は火葬の状況を、墓地又は火葬場所在地の市町村長に報告しなければならないこと(第一七条)等を定めている。最後に、第三章の二に雑則(第一九条の二、第一九条の三)が定められ、第四章には罰則(第二〇条~第二二条)が定められており、以下附則が置かれている。墓埋法は昭和二三年(一九四八)の制定後、同二五年、同二九年、同三一年、同三七年、同四三年、同四四年、同四五年、同五〇年、同五八年、平成二年(一九九〇)、同六年、同一一年、同一八年、同二三年に改正が行われた。他方で、墓埋法の条文数は少なく、規則を含めても墓地をめぐる法規範が存在しない場合が多く、墓地に関する判例も少ない。また、墓地をめぐる法規範が存在したとしても、慣習が存在する場合には慣習に左右されることや、宗教感情に影響を受けることもある。墓地や葬送に関する一般の人々の観念変化している現在においては、「自然葬」と称される海や山への散骨の法的な取扱いの問題や、「墓地永代使用権」の法的性格等に関し、墓埋法の条文の解釈のみでは導き出せない多様かつ複雑な法的問題も存在している。


【参考】生活衛生法規研究会編『墓地埋葬実務便覧』(ぎょうせい、一九九一)、生活衛生法規研究会監修『逐条解説 墓地、埋葬等に関する法律』(第一法規、二〇〇七)、茨城県弁護士会編『墓地の法律と実務』(ぎょうせい、二〇〇五)、葬送法研究会『くらしの相談室 お墓の法律Q&A』(有斐閣、一九九四)、藤井正雄・長谷川正浩共編『Q&A 墓地・納骨堂をめぐる法律実務 補訂版』(新日本法規出版、二〇〇五)


【参照項目】➡墓地埋葬


【執筆者:笠原慎一】