二巻。岸了がんりょう著。宝永三年(一七〇六)成立。身延山日遠(一五七二—一六四二)が『選択集』を批判して著した『無得道論』(浄全八)に対する反駁はんばくの書。『無得道論』では、日蓮の念仏批判をふまえて、さらに『選択集』の内容を批判する。これに対して岸了は、「日遠は但だ(『選択集』の)文のみから意味を取って妄説を作る」(浄全八・六六三上、趣意)として、広く浄土宗義に依りながら『無得道論』の説を論破し、『選択集』ならびに浄土宗義が正論であることを述べる。
【所収】浄全八
【参照項目】➡岸了、無得道論
【執筆者:米澤実江子】