言葉に節ふしをつけ、鍛えた声と巧みな節回しで聴衆の感覚に訴える情念の説教のこと。江戸時代後期に真宗が創造した布教用語で、この呼称と伝承は他の宗派にはない。布教の一手段で、芸能ではない。真宗教義を表出することが必須条件である。江戸後期に恵門えもん(一七九一—一八六二)が開いた東保とうぼ流など諸流を生み、昭和初期まで続いたが、宗門の近代化の中で衰退した。最近、再検討の機運が生じ、平成一九年(二〇〇七)に「節談説教研究会」が真宗で設立された。
【参考】関山和夫『説教の歴史的研究』(法蔵館、一九七三)、同『説教の歴史』(白水社、一九九二)
【執筆者:関山和夫】