数多くの美味なる飲食物のこと。『無量寿経』には「意に随って至り、百味の飲食、自然に盈満ようまんす」(聖典一・二四四/浄全一・一六)とあり、また『平等覚経』には「此の百味の飲食は都すべて八方上下、衆もろもろの自然の飲食の中の精味為り」(浄全一・七五下)とある。百味に関して義山は『無量寿経随聞講録』に「百味とは是れ大数に約す。必ずしも百数に非ず」(浄全一四・三八八上)と解釈している。このように実数としての百ではなく、漠然と数多くの美味なる飲食物のことである。
【資料】『大智度論』九三、『伝通記』二、『糅鈔』二九
【参照項目】➡百味供養
【執筆者:永田真隆】