大乗無上法
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:28時点における192.168.11.48 (トーク)による版
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だいじょうむじょうほう/大乗無上法
大乗仏教が、さまざまな教説のなかで最もすぐれた法門であるとの意味。みずから信奉する宗義を顕彰しようとする意趣がうかがわれる。例えば『入楞伽経』九に「諸の因縁を離れ、また邪見の過を離れ、内身を知って垢を離るるは、大乗無上の法なり」(正蔵一六・五七二下)とある。諸の現象世界は幻の如くで実なしと悟り、邪見を離れて内身の真如を知ることが無上法であると説く。浄土の法門が優秀であることを親鸞は『教行信証』行文類二に「龍樹大士世に出でて、悉く能く有無の見を摧破せむ。大乗無上の法を宣説し、歓喜地を証して安楽に生せむと、難行の陸路苦しきことを顕示して易行の水道楽きことを信楽せしむ」(正蔵八三・六〇〇中)という。龍樹が有無の二見を批判して、中道にして空なる最上の教えを説いた。それが安楽世界に往生するための易行の水道たる念仏の法門であるという。類語として大乗了義法があり、元照『観経義疏』上(浄全五・三五四下/正蔵三七・二八〇上)には浄土の法門が大乗了義中の了義であると強調する。聖光『授手印』の「究竟の大乗は浄土門なり」の語句は浄土宗義の基本的立場を示したもの。
【参照項目】➡究竟大乗
【執筆者:大南龍昇】