浄土或問
提供: 新纂浄土宗大辞典
じょうどわくもん/浄土或問
一巻。元・天如(一二八六—一三五四?)撰。成立年次不詳。著者は元代の僧侶、字は惟則、天如と号した。本書は、台浄一致・禅浄一致の立場に立ち、永明延寿の理事双修の観点に基づきつつ、問答の形で浄土教義に関する二六の疑問に対して回答するもの。『華厳経』の普賢菩薩のような優れた大菩薩でも極楽往生を目指していることを示して、浄土教の優越性を説く。また仏身仏土に関しては、天台の立場に基づき、さらに『首楞厳経』や『観経』などを引きながら、念仏の方法と念仏による滅罪などを述べている。加えて、自力で解脱できない者には、報恩・決志・求験の三策を勧めている。本書は後に智旭によって『浄土十要』の第六として収録された。
【所収】正蔵四七、続蔵六一(『浄土十要』六)
【参考】望月信亨『中国浄土教理史』(法蔵館、一九四二)
【参照項目】➡浄土十要
【執筆者:肖越】