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浄土教出世本懐論義

提供: 新纂浄土宗大辞典

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じょうどきょうしゅっせほんかいろんぎ/浄土教出世本懐論義

一巻。撰者不明。奥書によると、応永二二年(一四一五)に良意が筆録したとある。浄土教釈尊がこの世に出現した本意を説く教えであるということを、①釈尊阿弥陀仏の法に依って成仏した②「浄土三部経」には果分の諸法実相を説く③「浄土三部経」は根鈍重障の凡夫救済する④釈尊は余経滅尽の後も慈悲を以て浄土教のみを留める⑤「浄土三部経」に説かれる阿弥陀仏の教えによって受ける功徳は他の経典においても本懐として認めている、などの五箇の理由を挙げて示そうとするもの。本書冒頭では以上の五箇を基として、浄土教は本懐の中の本懐、法華等の余経は本懐の中の本懐に非ずとしているが、内容に至っては、余教を否定的に論じるというよりは多くの経論を文証として浄土教釈尊出世の本懐を説く教えであることを示す点に力が注がれている。


【所収】続浄一〇


【参考】玉山成元「名越派とその叢書」(『浄土宗典籍研究』山喜房仏書林、一九七五)


【執筆者:米澤実江子】