二種疑心
提供: 新纂浄土宗大辞典
にしゅぎしん/二種疑心
念仏する者が安心と起行とに疑心を持つこと。聖光は『念仏三心要集』で「疑に二有り。一に安心の疑心。二に起行の疑心なり」(浄全一〇・三九五上)と言い、「乃至一念無有疑心というは本願を疑わざるすがた也。仏の本願の方よりは一念に往生の大事をあてがいて心行具足しぬれば、一念も往生不足有るべからずと思うを乃至一念無有疑心と云う也」(浄全一〇・三六四)として、疑う心のない安心・起行を強調している。三祖良忠は『疑問鈔』下で安心の疑心を機と法を信じないこととする。また起行の疑心については、これを二種に分け、三心を具えているが自身が凡夫であるから往生できないと疑うものと、三心もなく往生を疑うものとに分けている。良忠は起行の疑心の内、前者は往生ができ、後者はできないと述べ、安心の疑心と起行の疑心による往生の可否を論じている。
【執筆者:藤本淨彦】