声明・経偈の句頭を独唱し法要の中心となる役職。『四十八巻伝』一〇には建久三年(一一九二)秋、八坂引導寺で後白河法皇追善の六時礼讃念仏会が心阿弥陀仏を調声とし、住蓮・安楽らを助音としてつとめられたとある(聖典六・一〇九)。天台宗では今でも伽陀・散華などの声明発声を除いて、ほとんどが導師調声の古式を残している。古くは導師自らが発音はっとんするのを本儀としたが、導師発声を維那が代わることになり、現在のように定着した。
【参照項目】➡維那
【執筆者:清水秀浩】