たかのかいおん／高野海音

明治一二年（一八七九）三月一七日—昭和三三年（一九五八）八月二五日。勝蓮社潮誉梵阿、字あざなは常念。瓜連うりづら常福寺七二世。福岡県朝倉郡宮野村（朝倉市宮野）に高野精通、フジの長男として生まれ、長じて同県直方のおがた市長安寺の大谷仙海の許で剃髪し海音と改めた。のち瓜連常福寺の安西覚順に師事し、浄土宗学鎮西教校に学び、明治三二年（一八九九）七月知恩院において山下現有より伝宗伝戒ならびに璽書を相承した。同年九月浄土宗高等学院に入り、同三六年浄土宗大学に進学、専門科において俱舎学を修めると、浄土宗内地留学生を拝命して京都に遊学し、勤息義城ごんそくぎじょうらについて宗学を究めた。同四二年から今岡達音のあとを受け、石橋誡道らと『浄土宗全書』の編集に従事した。海音の記した「浄土宗全書の出版経過概要」は『浄全』刊行の経緯を知る上で貴重である。同四三年一一月浅草浄生院に董じ、大正一〇年（一九二一）九月常福寺に転住、寺院の経営に務めた。世寿七八歳。

---

【資料】高野海音「浄土宗全書の出版経過概要」（浄全二一）、石橋誡道「高野海音氏を弔う」（『純正浄土教報』六九、一九五五）

---

【参考】大橋俊雄『浄土宗人名事典』（斎々坊、二〇〇一）

---

【執筆者：石川達也】