「国学」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:23時点における最新版
こくがく/国学
江戸時代中期に起こった、『日本書紀』などの古代文献の研究によって、日本人の道(古道・神ながらの道)を捉えようとする学問。真言僧で古典学者の契沖(一六四〇—一七〇一)に始まり、『万葉集』の研究を行った荷田春満(一六六九—一七三六)と賀茂真淵(一六九七—一七六九)に継承される。大成者である本居宣長(一七三〇—一八〇一)は、『源氏物語』に基づく「もののあわれ」論を提唱し、「神ながらの道」を展開して、排仏論を唱えた。宣長没後の門人である平田篤胤(一七七六—一八四三)は、天之御中主神を最高神とする復古神道を展開した。平田派国学は、倒幕の尊皇攘夷イデオロギーとして全国の郷村指導層に普及し、明治維新後の神仏分離と廃仏毀釈を導いて、国家神道の淵源となった。国学では、仏教・儒教が伝来する以前の日本には質朴真実な古道があったとし、仏教は外国の教えであり、出家することは人間自然の性情に反するとみなして、激しい排仏論を主張する。国学が宗教的性格を強めた近世後期には、黄泉の国という独自の来世観を打ち出し、仏教の浄土を否定した。
【執筆者:西村玲】