「晋山式」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年9月17日 (月) 10:08時点における版
しんざんしき/晋山式
新しく住職となった新命が住職として寺院に初めて入る法会。入院式とも称した。また『法要集』(大正一三年版)では晋山式作法と称した。この式は、中宿・行列・開門式・堂内式・書院式の五部の構成からなる。中宿は新命が行列をなして寺院に入る前に、いったん衣体を整える家をいう。檀信徒(総代)の家などに当てることが多く、仏壇前で回向してから行列をする。行列は練り行列または庭儀式ともいい、新命が法類と総代に伴われて入寺する形態を儀礼化したものである。新命の行列は、列奉行・檀信徒総代・先進・侍者・新命・伴者・法類・新命の縁者の順に並んで本堂に進む。行列が門前にいたると、列奉行以下左右に整列して開門式を行う。「広開偈」の第四句「広開浄土門」で扉をゆっくり開き、新命は十念を称える。再び列を正して本堂前に進む。堂内式では法灯継承とその報告法要を行う。新命は本堂正面より入堂して、外陣に座って一揖する。住職の辞令を拝受し、伝衣・過去帳・檀信徒名簿・伽藍譜(その寺院の世代を記したもの)などを受ける。仏前で焼香してから本座に着いて報告法要を修す。堂内式の終了後には、書院で書院式(茶昆布式)を行う。新命は一住職として、公式の席で組内寺院と檀信徒総代と共に昆布と茶を飲食する。新命は、これらの式を通して正式の住職として認められる。書院式などは地域の慣例によることが多い。『法要集』にはこの式をはじめ内仏回向・鎮守法楽などの次第を明記している。総・大本山では門主・法主の推戴後に入山式をしてから晋山式を厳修している。
【参考】千葉満定・中野隆元『浄土宗法要儀式大観』(名著普及会、一九八七)、「晋山式」(『一遇』一遇会、一九七六)
【執筆者:西城宗隆】