「発心集」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:33時点における最新版
ほっしんしゅう/発心集
八巻。鴨長明著。成立年未詳。鎌倉初期の仏教説語集。日本の僧侶などの事蹟(若干例外はある)を述べた百余話を集めており、随想・評論・説教などの文章を添えている。玄賓、平等、千観、増賀、南筑紫などの隠遁、籠居、奇行、往生を記し、教団組織から外れて修行に励む遁世者や、永観、寂心(慶滋保胤)、寂照(大江定基)、讃州源太夫、少納言統理、中納言顕基、中将成信、少将重家ら貴公子や無名の男女の遁世譚があり、顕彰に終わらず内的葛藤を映している。序文に「心の師とは成るとも、心を師とすることなかれ」(『涅槃経』に「願作心師不師於心」〔正蔵一二・五三四上〕とある)とあるように、人間の心への視点がみえるのが特色。思想的には、平安朝の天台浄土教の面影がみえ、源信の『往生要集』『観心略要集』、永観の『往生拾因』『往生講式』などに影響されたものも多い。五巻本の異本があり、本文の異同・後人の増補など諸説があって、決定していない。
【執筆者:榊泰純】