「八万四千」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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はちまんしせん/八万四千
あるものの数や量が極めて多いことを示す比喩的な表現で、「一切の」「無数の」という意味。省略して八万ともいう。Ⓢcatur-aśīti-sahasra。仏典中で様々な事柄について表現される。釈尊一代の教えを八万四千の法門(法蔵、法蘊)、須弥山の高さを八万由旬とするほか、八万歳、仏・菩薩の八万四千の相好・光明、八万四千地獄(=無間地獄)、八万四千の煩悩(塵労)、アショーカ(阿育)王の八万四千の塔などの用例がある。仏弟子の言葉を集成した『テーラガーター(長老偈)』一〇二四偈で、仏弟子のアーナンダ(阿難)が自ら詠じた詩の中に「私(阿難)はブッダからは八万二千〔の教え(法門)〕を受け、比丘(修行者)たちからは二千〔の教え(法門)〕を受けました。こういうわけで八万四千の教え(法門)が行われているのです(趣意)」とある。また『観経』第九観では、阿弥陀仏は八万四千の相好をもち、さらにその一つ一つの相好に八万四千の随形好があり、その随形好にもまた八万四千の光明があると説かれている。
【資料】『観経』(聖典一・一六五、七・一六六/正蔵三・三四三中二三~二七)
【参考】中村元『仏弟子の告白—テーラガーター』(岩波文庫、一九八二)
【執筆者:北條竜士】