「破邪顕正義」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:31時点における最新版
はじゃけんしょうぎ/破邪顕正義
一巻。『鹿島問答』ともいう。聖冏撰。永和三年(一三七七)成立。神仏相関の立場から、浄土門の優越性について述べたもの。本書は、聖冏が常陸国鹿島神社に参詣した際、見聞した出来事を記録したという形式をとって著されている。それによれば、鹿島神社社頭安居寺に逗留をした夕刻に、老女が神前で弥陀名号を称え始めると、そこに醜老翁が現れ、『唯識三十頌』を誦し始め、この老女と老翁との間で展開された問答が収録されている。ここでは二者間で、神仏の関係について、また、念仏行者に関する世間からの誤解や非難について老女が問い、老翁が答えている。内容は多岐に渡るが、仏本神迹の立場から神仏の関係を把握し、また禅門や日蓮宗から浄土宗に向けられた非難への論駁等、聖冏における諸教融和の立場からの浄土門優越の主張や、当時の浄土宗を取り巻く状況への積極的な対応が看取される。
【所収】浄全一二
【執筆者:東海林良昌】