「伝道講習院」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:29時点における最新版
でんどうこうしゅういん/伝道講習院
明治三一年(一八九八)九月の教学院決議により設置された高等布教師養成のための機関。はじめ小石川伝通院内に設置されたが、同三二年、増上寺山内に移された。設立に携わったのは、主幹兼講授を務めた黒田真洞、中島観琇。院長兼講授に神谷大周が就き、他に道重信教、松濤賢定、豊岡博道等が講授の任に就いている。入学には試験を課し、修業年限は三年、卒業した者は巡教師への任用を得た。学科課程には一年から三年の順に、宗乗に「三経講義・論題講義」「往生論註講義・論題講義」「選択集講義・論題講義」、余乗に「俱舎唯識・因明大要」「性宗要義」(二ヶ年)、法式に「通常法式・声明」「化導法式・声明」「声明」、哲学に「論理学」「教育学」「哲学史」、歴史に「東洋史」(二ヶ年)「欧米史・宗教史」がそれぞれ割り当てられ、他に「国語・漢文」「弁論法」「語学」(翻訳・会話・作文)「練習」と、科外として一年目に「仏祖史伝講究」の学科が定められている。初期には実演集として『法の道芝』を出版するなどの活動をし、一宗の布教伝道に活力を注いだ。のち同三八年に浄土宗教大学院が設立された際、伝道講習院は伝道部として吸収され、その分校となった。
【参考】『浄土宗現行宗制法規類纂』(一八九五)、『浄土宗制規類聚』(一八九八)、恵谷隆戒『補訂版概説浄土宗史』(隆文館、一九七八)、稲垣真我『浄土宗伝道百年史概観』(恵谷隆戒先生古稀記念論集『浄土教の思想と文化』佛教大学、一九七二)、『大正大学五十年略史』(大正大学五十年史編纂委員会、一九七六)
【参照項目】➡巡教師
【執筆者:八木英哉】