「一神教」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:19時点における最新版
いっしんきょう/一神教
ある特定の一神がこの世界における唯一無二の神として立てられ、それが信仰されている宗教体系のこと。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教が一神教の代表的な例といえる。一神教に関する宗教学上の分類としては唯一神教のほかに、拝一神教、単一神教、交替神教などがあるが、厳密な意味での一神教は唯一神教である。唯一神教に属する宗教はいずれも創唱宗教であり、預言者が有する実存的な宗教体験に根ざしている。キリスト教においては「イエスの父なる神」が唯一の神として崇拝されており、イスラム教においては最後の預言者ムハンマドによってアッラーと呼ばれる神の唯一性が大きく強調されている。唯一神教における神の存在は絶対的であり、その他の神々の存在を厳格に否定する点において伝統的な日本の風土にはなかった宗教的価値といえよう。仏教においては、悟りを開いた開祖釈尊を一人の覚者として崇拝していたが、やがて大日如来をはじめとする幾多の法身仏が説かれ、あるいは本願成就の阿弥陀仏という報身仏が現れるようになった。特に、浄土教における阿弥陀仏信仰は一仏のみによる救済に帰依することから一神教的な宗教であると度々指摘されてきた。しかしながら、阿弥陀仏以外の仏・菩薩を広く尊び、あるいは、無量寿・無量光という阿弥陀の別名から、あらゆる時空において阿弥陀仏の本願力が遍在しているという意味合いにおいて、阿弥陀仏信仰は一神教とは異なるといえよう。
【執筆者:江島尚俊】