「塵労」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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じんろう/塵労
心をわずらわせ、疲れさせる心の塵。煩悩の異名。塵とは色・声・香・味・触・法の六塵をさし、眼・耳・鼻・舌・身・意の六根がこれらの六塵を感受して六識を起こし、種々の労苦を起こすこと。『無量寿経』上には、「諸もろの羅網および衆もろの宝樹を吹いて、無量の微妙の法音を演発し、万種の温雅の徳香を流布す。その聞くことある者は、塵労垢習、自然に起こらず。風、その身に触るるに、皆、快楽を得」(聖典一・二四六/浄全一・一八)と説かれているが、憬興撰『無量寿経連義述文賛』(正蔵三七・一四二下)では、『無量寿経』上を引用し、「塵労」とは、五欲の境(対象)であるとしている。また仏教において、塵を微細で数が多いことから煩悩の形容として用い、本来人間の心は本性清浄とする立場からその煩悩は付着して汚すものであったり、外よりくるもの、あるいは多くあるものとしてその特質が表現される(客塵煩悩)。
【資料】『仏本行経』一、『大宝積経』一二、道光『無量寿経鈔』一、宗密『円覚経疏鈔』一
【執筆者:薊法明】