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かいじごくいんこうだらに／開地獄咽喉陀羅尼

施餓鬼会において用いられる陀羅尼で、浄土宗では「オン　ボホテイリー　キャタリ　タターギャターヤー」と誦する。この陀羅尼は不空訳『施諸餓鬼飲食及水法』（正蔵二一・四六七上）に開地獄及咽喉呪として見られる。そこでは餓鬼を召請するための印を結んで普集餓鬼陀羅尼を誦するのに引き続き、右手はそのままにして左手に食器を持って誦するものとする。両者には文言の相異がほとんどなく、この陀羅尼は普集餓鬼陀羅尼から流用されたものと見られている。真言陀羅尼には呪文の要素があり解読には適さない語句が散見されるが、「ボホテイリー　キャタリ　タターギャタ」はⓈvipula-gātra-tathāgata（広博身如来）から音節の置換や挿入がなされたのではないかとされている。「オン」については同意や応諾の意に用いられるものであり、またⓈnamasと同様の、帰敬の対象を伴う用例と考えられる。この陀羅尼は広博身如来に帰敬しつつ、如来がその名にふさわしく広大な身体四肢によって餓鬼を救い摂とった次の段階として、如来に彼らの喉を広く開けるよう、その同意を促すものと考えられる。

【参考】田久保周誉『真言陀羅尼蔵の解説』（真言宗豊山派宗務所、一九六〇）、福西賢兆『図説浄土宗の法式』第三巻法要篇Ⅱ（斎々坊、一九九二）

【参照項目】➡普集餓鬼陀羅尼

【執筆者：袖山榮輝】