「歯吹きの阿弥陀」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:31時点における版
はふきのあみだ/歯吹きの阿弥陀
わずかに開口して歯が見える特徴を持った阿弥陀仏像。『無量寿経』下に説かれる「容を動かして欣笑を発し、口より無数の光を出だして徧く十方の国を照らしたまう。光を廻らして身を囲繞すること三帀して頂より入る」(聖典一・二五二/浄全一・二〇)が本図像表現の根本とされ、この奇瑞を示した阿弥陀仏を拝することで衆生が踊躍歓喜することを念じたと考えられている。さらに、『観経』に「その時世尊、すなわち微笑したまうに、五色の光あって、仏口より出づ」(聖典一・二九一/浄全一・三九)とあり、前出の一文と併せみると、歯を見せるという所作よりも、開口して光明を発することに主眼を置いていることがわかる。なお、如来の三十二相八十種好中の四十歯相等を示したものとの説もあるが、視覚的に歯の有無が明瞭でないこともあり確説とはいいがたい。しかし、歯吹きの阿弥陀の作例には、足裏に三十二相中の足下二輪相を具象化したものである仏足文をあらわしたものが多いことも事実で、この点にも注目して検討する必要がある。現在、鎌倉時代以降の作例が残る。
【参考】光森正士「阿弥陀仏の造像」(奈良国立博物館編『阿弥陀仏彫像』東京美術、一九七五)
【参照項目】➡阿弥陀仏像
【執筆者:藤田直信】