「舎利弗」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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しゃりほつ/舎利弗
釈尊の十大弟子の一人で、智慧第一と称される。ⓈśāriputraⓅsāriputtaの音写語。舎利弗多羅、舎利弗羅などとも音写し、舎利子、舎梨子、鶖鷺子などと訳される。別名をウパティッサ(Ⓟupatissa)という。マガダ国ナーラカ村のバラモンの家に生まれる。友人の目連と共に出家し、六師外道の一人、懐疑論者のサンジャヤの弟子となっていたが、五比丘の一人アッサジに出会い、因縁の偈を聞いて感激し、目連とサンジャヤの二五〇人の弟子を引き連れて仏教に入団した。釈尊との数多くの問答を通して、その聡明さから弟子中の第一人者とされ、釈尊から教えの相続者と賞賛された。また、ジャイナ教の古層経典『聖仙のことば』に舎利弗に比定される聖仙の思想が記載され、そこでは舎利弗がブッダであるとされていることなどから、仏教外部からは、舎利弗が仏教を代表する存在と見られていた可能性もあることが指摘されている。目連と共に釈尊よりも早く入滅し、釈尊をはじめ多くの弟子から惜しまれた。大乗経典の多くに釈尊の対告衆として現れ、『阿弥陀経』の対告衆ともなっているが、これは大乗経典の権威付けを意図したものと考えられている。
【参考】山辺習学『仏弟子伝』(法蔵館、一九八四)、中村元『仏弟子の生涯』(『中村元選集〔決定版〕』一三、春秋社、一九九一)、同『原始仏教の成立』(『中村元選集〔決定版〕』一四、同、一九九二)
【参照項目】➡十大弟子
【執筆者:榎本正明】