十大弟子
提供: 新纂浄土宗大辞典
じゅうだいでし／十大弟子
釈尊の弟子（仏弟子）の中で、特に秀でた一〇人の弟子。『無量寿経』『阿弥陀経』の冒頭にも一部登場するが、まとまった形では『維摩経』弟子品の記述が有名（原形は『阿含経』増支部）。彼ら各々には特別な能力が具わっており、各自「○〇第一」（○〇にかけては第一人者）と呼ばれる。すなわち智慧第一の舎利弗（シャーリプトラ）、神通第一の目連（マウドガリヤーヤナ）、頭陀第一の大迦葉（マハー・カーシャパ）、解空第一の須菩提（スブーティ）、説法第一の富楼那（プールナ・マイトラーヤニープトラ）、論議第一の大迦旃延（マハー・カーティヤーヤナ）、天眼第一の阿那律（アニルッダ）、持律第一の優波離（ウパーリ）、密行第一の羅睺羅（ラーフラ）、多聞第一の阿難（アーナンダ）の一〇人である。中でも舎利弗と目連は傑出していたが、釈尊より先に亡くなった。大迦葉は釈尊滅後の教説散逸を怖れて結集の必要性を主張した。その際（第一結集）に阿難が経を誦し、優波離が律を誦したと伝承される。このように仏典の骨格を形成したのも彼ら仏弟子である。
【参考】長尾雅人『改版維摩経』（中央公論社、一九九一）、大正大学仏教学科編『仏教とはなにか—その歴史を振り返る—』（大法輪閣、二〇〇一）
【執筆者：中御門敬教】