「始教・終教」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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しきょう・じゅうきょう/始教・終教
中国華厳宗三祖・法蔵(六四三—七一二)の五教判中にみられる語。始教は大乗始教、終教は大乗終教の略である。『華厳五教章』では、「聖教万差なれども要は唯だ五有り。一には小乗教、二には大乗始教、三には終教、四には頓教、五には円教なり」(正蔵四五・四八一中)として、釈尊一代の教説を五教十宗に分類する。大乗始教とは大乗の初歩的段階という意味であり、これを空始教と相始教の二に分ける。経典では『般若経』『解深密経』などが相当する。大乗終教とはすべてのものが成仏すると説く大乗の教えであり、如来蔵をその内容とし、『楞伽経』『勝鬘経』などが相当する。第四の頓教とは前の二教のように段階的な修行を説かず、「頓悟成仏」をその内容として、『維摩経』などが相当する。第五の円教とは重々無尽、一多融即を説く華厳教をその内容として、『華厳経』『法華経』などが相当する。また『華厳経探玄記』にも同様の説がみられる。なお法然は『選択集』一でこの教判を紹介している。
【参考】『仏典講座二八 華厳五教章』(法蔵館、一九七九)
【執筆者:土屋慈恭】