「浄土述聞口伝切紙」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:25時点における最新版
じょうどじゅつもんくでんきりがみ/浄土述聞口伝切紙
一巻。良暁著。安心起行を中心に浄土教における重要な点を一一挙げ論じたもの。聖冏の『浄土述聞口決鈔』上によれば、正和二年(一三一三)秋に良暁は千葉庶流の海上一族の船木中務禅門の要請により、海上郷(千葉県銚子市)の称名寺(称讃寺)に三年滞在した。その間、毎日浄土教の講説を行っていたが、自身の門弟にも異義を述べる者が出てきたため『口伝鈔』を作成した(浄全一一・五八二上)。本書がそれにあたるという。ただし本書は江戸期の版本しか現存せず、内容は一一箇条からなり原本と異なると考えられている。櫛田良洪は昭和四六年(一九七一)、東寺宝菩提院から本書の古写本『浄土口伝肝心鈔』を発見したが、原本は一〇箇条からなり『口伝鈔』の原型にはこちらが近いとしている。一箇条目を分割するなど内容に大幅な改変のあとがみられ、江戸期に改変された異本とされる。
【所収】浄全一一
【参考】櫛田良洪「東寺宝菩提院蔵の浄土教の資料について」(『仏教史研究』四、一九六九)、田中祥雄「東寺宝菩提院所蔵『浄土口伝肝心鈔』について」(『仏教文化研究』二三、一九七七)
【執筆者:伊藤茂樹】