「散善九品」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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さんぜんくほん/散善九品
『観経』所説の九種(九品)の往生人の姿にみられる散り乱れた心のままで行う善行(散善)のこと。妄念を離れた定心で行う善行(定善)に耐えられない末世の凡夫救済のために、釈尊が大悲をもって説いたのが散善九品の行業である。散善九品の行業には、慈心不殺、具諸戒行、読誦大乗、修行六念、善解義趣、深心因果発菩提心、一日一夜受持八戒、孝養父母行世仁慈、一念念仏、聞法、十念念仏がある。法然は『選択集』一二において、三福の行業を九品の行業に配当し、これら散善九品の行が、同じ散善に属する三福を開いて広述したものであると述べている。また、善導と法然は、阿弥陀仏が本願に誓い、釈尊が阿難に付属した行はただ念仏のみであり、たとえ散善九品の行業であっても、念仏以外の諸行は廃せられるために説かれたとしている。
【資料】法然『選択集』一二
【執筆者:吉水岳彦】