「安養抄」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:18時点における最新版
あんようしょう/安養抄
八巻。作者は教月房良慶ともいわれるが定かではない。西方極楽浄土に関する問題を取り上げて経典論書よりそれに関する要文を抄出したもの。談義問答のための参考資料として用いられたものと考えられる。本書より以前の源隆国等により撰せられた『安養集』と形式、内容において類似しており、その影響を受けているといわれる。「安養浄土四種仏土中何耶」「極楽有二乗耶」「安養覩率往生難易云何」「十念成就等及別時意趣」など八六の問いが取り上げられている。経典では、『無量寿経』『観経』『阿弥陀経』のいわゆる「浄土三部経」はじめその異訳経典、論書では天台智顗の作といわれる『観経疏』『十疑論』をはじめとして、浄影寺慧遠、迦才、善導、智光、良源、源信、千観などの著作からの引用が見られる。特に『往生要集』の引用は一八回あり、そのほとんどが大文第一〇問答料簡からのものである。また散逸して、現存しない論書からの引用も見られる。
【所収】正蔵八四
【参考】戸松憲千代「『安養抄』に引用せられたる『往生論疏』に就て」(『仏教研究』三—一)、八木昊恵「『安養抄』に現れたる『往生要集』に就いて」(『龍谷学報』三二五、一九三九)、新井俊夫「安養抄について」(『大正大学大学院研究論集』三、一九七九)
【参照項目】➡安養集
【執筆者:新井俊定】