「喚鐘」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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かんしょう/喚鐘
法要の開始を告げる鐘。形状が洪鐘と同じで、本堂の後門、回廊などにつるされた小型の鐘。人を呼びよせるところから喚鐘、または半鐘とも呼ばれる。『持宝通覧』中では「其の象る所全く洪鐘に同じうして、大きさその半に及べり。故に呼んで、半鐘と名づく」(一五オ、明治二六年〔一八九三〕)とある。一般には口径が一尺(約三〇センチメートル)ほどの鐘を喚鐘という。また庫裡の檐に掛けて食事のときに打つから飯鐘、または報鐘、殿鐘、小鐘など使用する場所や目的に応じた別称もある。喚鐘は法要の開始を知らせるもので、本堂内や導師などの用意がすべて整い、入堂する準備ができたとき、丁字型の撞木で撞座を打って鳴らす。はじめに虚揩一下し「鳴鐘偈」を唱え、三通(一通四〇下)打ち鳴らし、最後三下する。引声法要(増上寺・鎌倉光明寺)では、六字詰念仏のときに雷落としの作法でも用いられる。
【参考】『浄土宗法要儀式大観 復刻版』(名著普及会、一九八八)、福西賢兆監修『浄土宗の法式』一(斎々坊、一九九〇)
【執筆者:斉藤隆尚】