「円観」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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えんかん/円観
弘安四年(一二八一)—文和五年(一三五六)三月一日。字は恵鎮。勅賜号は慈威和尚。出生地は近江国である。興円に師事して法然に連なる円頓戒の正脈を受けた。円頓戒復興の師として名高く、歴代天皇の戒師となった。特に後醍醐天皇の敬慕を受け、法勝寺修造の大勧進に任命された。政治面でも重んじられ、鎌倉幕府討伐に深く関わった。また近年の研究に依れば、『太平記』の成立にも深く関与しているという。著書に『直往菩薩戒勘文』等がある。
【資料】『閻浮受生大幸記』(『続天台宗全書』史伝二)、『師守記』、『総系譜』下(浄全一九)
【参考】石田瑞麿『日本仏教における戒律の研究』(在家仏教協会、一九六三)、松尾剛次『勧進と破戒の中世史—中世仏教の実相—』(吉川弘文館、一九九五)、小木曽千代子「恵鎮(円観)上人年譜稿」(『軍記文学研究叢書』八、汲古書院、一九九八)
【参照項目】➡興円
【執筆者:加藤弘孝】