「仏名経」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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ぶつみょうきょう/仏名経
諸仏の名号を受持し、その功徳によって懺悔滅罪すべきことを説く経典。「仏名経」には数種の異訳がある。①北魏・菩提流支訳『仏名経』一二巻。一万一〇九三尊の仏・菩薩名を列記する。同類の経典に三千仏名経・百仏名経などがある。②訳者不詳『仏名経』三〇巻。高麗版大蔵経のみに収められ、一二巻本を増広して作られた疑経。③隋・闍那崛多訳『五千五百仏名神呪除障滅罪経』八巻。④訳者不詳『三劫三千諸仏名経』三巻。『過去荘厳劫千仏名経』一巻、『現在賢劫千仏名経』一巻、『未来星宿劫千仏名経』一巻の三経を合本したもの。『三千仏名経』と略称する。⑤隋・那連提耶舎訳『仏説百仏名経』一巻。以上いずれも梵本は伝わっていない。これらの仏名経には仏名以外にも、経典名・菩薩名・声聞縁覚名などを列記するものもあり、現在、毎年歳末に行われている仏名会では『三千仏名経』三巻を依本とする。ただし、浄土宗における仏名会では「仏名会礼懺儀」や「礼竟回向疏」にも記されているように、専ら阿弥陀仏の名号を称えて礼拝することを本義とする。
【所収】正蔵一四(五経典全て所収)
【参考】『浄土宗法要集』上(浄土宗、一九九八)、塩入良道「中国仏教における仏名経の性格とその源流」(『東洋文化研究所紀要』四二、一九六六)、柴田泰「菩提流支訳『仏名経』の構成について」(印仏研究二四—一、一九七五)
【執筆者:杉山裕俊】