「雑毒虚仮念仏」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:28時点における最新版
ぞうどくこけねんぶつ/雑毒虚仮念仏
欲や偽りにまみれた心で修する念仏のこと。善導『観経疏』の至誠心釈の部分には「雑毒の善」「虚仮の行」について「貪瞋邪偽奸詐百端にして、悪性侵め難く、事蛇蝎に同じきは、三業を起すといえども名づけて雑毒の善とし、また虚仮の行と名づく」(聖典二・二八八/浄全二・五五下)と説かれ、欲や偽りにまみれた心と理解されているが、「雑毒虚仮念仏」とは、聖光が『浄土宗名目問答』上に「問う、何ぞ雑毒虚仮の念仏と名くるや。答う、内心には往生の心無く、外相計りに頭燃を払うが如く、昼夜六時勇猛精進に頻りに高声念仏を修する者、一として往生の為にあらず、只だ利養の為なり。只だ是れ名聞の為なり。此の如きの念仏をば世間の人人誑惑の念仏と云う。此の誑惑の念仏は自らの往生のために是れ雑毒なり、亦は虚仮なり」(浄全一〇・四〇一上)といって、往生浄土を願わずに行ずる念仏行として説かれることから、このように言われるようになった。
【執筆者:郡嶋昭示】