「地蔵信仰」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:26時点における最新版
じぞうしんこう/地蔵信仰
地蔵菩薩に対する信仰。日本では平安時代末期から末法思想の影響下において、主として貴族社会を中心に広まった。地蔵菩薩は祈願を起こせばいかなるところへも現れて、すべての人々に救いの手をさしのべ、あらゆる苦難から救済してくれると信じられた。中世に入ると浄土信仰の影響もあり、地蔵は人間が生前の業によって死後に輪廻する、いわゆる六道で苦しむ死者を救ってくれる菩薩として、庶民の間でも篤く信仰されるようになる。そこでは、地蔵は弱者を救うとする信仰から、子どもの守護者の性格が付加され、子安地蔵の信仰に結びついてゆく。また地蔵は道祖神信仰とも習合し、現世と他界の境界を守護する塞の神としての性格も帯びるようになる。明治以降には、特に京都を中心に地蔵信仰が盆行事と結びつき、子どもを主体とする地蔵盆の行事として定着する。それはやがて関西周辺の広い地域へと普及してゆくことになる。
【参考】石川純一郎『地蔵の世界』(時事通信社、一九九五)、桜井徳太郎『地蔵信仰』(雄山閣、二〇〇三)
【執筆者:八木透】